2021年7月4日(日):人類はかなり賢い生物であるって話

なんか最近Twitterで(というかSNSで)、よくフェミニストは馬鹿とか、残業するやつは馬鹿みたいな話を目にする。

これは明らかに誤りで、人類はかなり賢い。少なくとも、「〇〇は馬鹿」という主張通り、馬鹿にされている人間が何にも考えていない可能性は、0%に近い。

例えば、先日、『朝9時に一律出社を強制するのは馬鹿だ!』という主張を目にした。まあ、この主張は正しい。なら、経営陣は何で頑なにルールを変えないのだろうか?馬鹿だから?

そんなわけはなく、『ルールを変更し、周知させ、問題があれば訂正し、例外を対策し、悪用を防止し、他諸々の手間を考えれば、費用対効果が見合うとは思えない』から、変えないのだ。どれだけ無能な経営者だろうが、例外なく、ここまでは考える。これを頭が固いと批判するのはおかしくて、効果があるかも分からないのにルールを変える方がおかしい。

朝9時一律出社を廃止した会社だって、能力ある人間が様々な資料を用いて費用対効果を証明したから廃したのだろう。

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上記の話も同じだ。

このツイートが本当かはともかく(99%嘘だが)、アメリカ人は馬鹿だから金遣いが荒いのではない。

彼らにとって、「昇給したら金を使い切るのはカルチャーだから」、金を使い切るのだ。成人式の際、高い金を出して着物をレンタルする女性と同感覚であるとイメージすれば分かりやすい。即ち、これは通過儀礼であり、社会が暗黙的に定義したからこその結果なのである。

そんな非合理的な通過儀礼に黙々と従っているのなら、なおさら愚かだろうか?俺はそうとは思わない。むしろ、非合理的だからという理由のみで、批判することの方が愚かしい。

当たり前だが、人間は合理的な生き物ではない。合理的な生き物は、人を嫌ったりしないし、妻に浮気されようがどうでもよく、死を悲しまない。それ等の行為はストレスを生み出すだけであり、無意味だからだ。だからって、人を嫌ったり、妻の浮気にキレたり、死を悲しむのは愚かではないだろう。

通過儀礼に関しても同様だ。合理的に考えれば、ヨットなんて必要ないものは買わない方がいい。だが、(上記のツイートが本当なら)アメリカ社会において、自分のヨットを買うことは、単なる金銭と物品のやり取りではない。精神の尊厳を得るためのセレモニーと見なすべきだ。

自分のルールでは解釈出来ないから、間違っていて、愚かで、下らない。そう判ずることは、軋轢の原因となりうるし、何より自分に跳ね返ってくる。(葬式は下らないからやらなくていいって言われたら、どうするんだ?)

 

「語りえぬものについては、沈黙しなければならない」が板。